殺人による別れは、予期することのできない突然で、さらに暴力性のある別れであり、現場を目撃してしまうこともあれば、病院や警察の霊安室での対面になることもあります。ご遺体の状態も、損傷や、完全な状態ではない、見つかるまでに時間がかかる、行方不明のままなど、ご遺体の状態に関する特異性があります。また、検死や司法解剖といった通常の死別にはない手続を経ることになり、ご遺体が家族のもとに帰るまでに時間がかかります。更に、刑事・民事手続の負担や二次的被害の問題も加わります。犯罪や事故などの暴力的な形で家族等を失うことは、強い不安や恐怖を伴う体験です。
こどもの場合、家族が被害に遭ったことで保護者が心身の状態が保てなくなることで、学校生活に支障がでることがあります。主に生計を担っていた保護者が被害者となった場合、収入が途絶える等の事態が予想され、学校生活を続けることができなくなる場合もあります。 兄弟姉妹が被害当事者である場合、きょうだい児(被害当事者の兄弟姉妹)は保護者にこれ以上負担を掛けないよう、「自分は大丈夫」と弱音を吐かずに頑張ることがあります。自身の頑張りに心が耐えられなくなる、または被害による心への負担により、やる気が起きず身体を動かすことが億劫になる等、心身の不調が被害直後から出ることもあれば、被害後数年経ってから苦しむことがあります。