私が被害者支援に関わることになったのは平成8年、警察での被害者支援が始まったころに遡ります。当時勤務していた警察の部署が被害者支援の担当部署となり、相談担当者として指名されすぐ、東京医科歯科大学犯罪被害者相談室で1ヶ月間の研修を受けることとなりました。これを機に、自分自身の中に「犯罪被害者支援」という新たな視点が加わり、犯罪を始め、社会で起こっている出来事に対する考えや見方が大きく変化したのを覚えています。
犯罪被害者のための支援活動に携わり始めて25年、振り返ってみるとスタート当初は手探りで、被害者の方のニーズにどうすれば応えることができるのか試行錯誤しながら、知識や技法を懸命に学びつつ相談・支援に向かい合う日々であった。
犯罪被害者支援に大切なものは3つのS~System(法制度や条例)、Skill(支援者の能力や技術)、Spirit(魂や信念)~と考えています。それは、どれが欠けても、被害者への支援は実効性がなくなったり、薄っぺらくなったりしてしまうからです。この中でSkill が相談員や支援員の人材育成に最も密接なものにあたります。
民間による被害者支援を始められて30年という節目の年、「犯罪被害者等が全国どこにいても、いつでも、求める支援が受けられる活動」の実現を目指して着実に前進している全国被害者支援ネットワークの一員として体験したことの一端を思い起こし、今後の被害者支援活動に活かしていきたいと思います。
私の所属する「紀の国被害者支援センター」は、平成9年に全国で6番目に和歌山市内に任意の団体として設立し、平成22年に公益社団法人の認定を受け、23年に県公安委員会から、被害者支援を適正且つ確実に行うことができる営利を目的としない法人として「犯罪被害者等早期援助団体」に指定され、被害直後から被害に遭われた方やそのご家族又はご遺族の方々にそっと寄り添い、ニーズに応じたきめ細やかな総合的な被害者支援活動に地方公共団体(県・市町村)「(以下「地方公共団体」という。)」をはじめ県内の各専門の支援機関の皆さま方と連携して取り組んでいます。