昨年、第4次犯罪被害者等基本計画がスタートいたしました。性犯罪など、被害が潜在化しやすい被害者への支援が必要という認識の下、ワンストップ支援センターですとか、警察庁の「#8103(ハートさん)」など公的な相談窓口が充実し、性犯罪・性暴力被害者のための様々な施策が展開されています。しかし、性別にかかわらず、そして、子どもから大人まで「誰にも相談しなかった」「相談できなかった」という声を聞くことは多くあります。
このパネルディスカッションでは、性犯罪被害者の支援を中心に、様々な立場で活躍されている方々から、実情を踏まえた貴重なお話をいただくことによって、その現状を知ると同時に、会場の皆様と一緒に今後の展望にも思いを馳せていきたいと考えております。 色々なところで言い古された言葉ではありますが、犯罪被害者支援に当たっては各機関の連携が大変重要です。心ある多くの方々、理解ある多くの組織の連携なくして犯罪被害者支援の将来は望めません。長く犯罪被害者支援に貢献されてきた方にとっては、連携という言葉は、もう耳にタコができるほど聞き飽きた言葉かもしれませんが、連携の大切さはどれだけ繰り返し訴えても十分ということはないと思います。何度も色々な形で連携のあり方について考えていくことこそが、被害者支援を充実させていくことにつながると思います。
2022年開催「全国犯罪被害者支援フォーラム2022」パネルディスカッション。「なぜ、早期に適切な支援につながることができないのか」をテーマに被害者等の方が適切な時期に適切な支援を受けるための体制づくり等について討議。
2022年開催「全国犯罪被害者支援フォーラム2022」講演。
急性期のトラウマ反応だけでなく、性犯罪被害者のほとんどに、長期の精神健康に悪影響をもたらす爪痕のような否定的認知が存在しています。羞恥心に加えて、なぜ被害を防げなかったのか、自分にも落ち度があったのではないかという無力感と自責感、自分はもう汚れてしまったという汚れ感など、自分自身への見方が否定的になると、自尊感情は低下し、自分に自信がもてず、対人関係にも支障が出てしまいます。