これまでに数多くの都民センター利用者が、有効なPTSD 治療の恩恵を受け、犯罪被害による精神的後遺症からの回復の道をたどることができました。その実績から、当初は2名の心理専門職で取り組んでいたPE 療法を、現在の都民センターでは7名の心理専門職が実施しています。そのうち4名は同療法のスーパーバイザーとしての指導者資格も有しています。さらにコロナ禍の下では、ウェブを利用したオンライン形式での同療法の提供も積極的に活用しています。
犯罪被害者民間支援30年・犯罪被害給付制度及び救援基金40年記念誌の作成にあたり、NNVS認定コーディネーターの立場から犯罪被害者等の支援について記念誌へ寄稿させていただくことはたいへん光栄なことであり、責任の重さを感じております。はじめに、NNVS認定コーディネーターの活動を通じて、犯罪の被害に遭われた方やそのご家族・ご遺族の方々への支援が、より一層充実していくために、私たちNNVS認定コーディネーターの役割とその活動をご紹介し、その後に、私がこれまでの活動の中で学んだ被害者支援について述べさせていただきたいと思います。
私が被害者支援に関わることになったのは平成8年、警察での被害者支援が始まったころに遡ります。当時勤務していた警察の部署が被害者支援の担当部署となり、相談担当者として指名されすぐ、東京医科歯科大学犯罪被害者相談室で1ヶ月間の研修を受けることとなりました。これを機に、自分自身の中に「犯罪被害者支援」という新たな視点が加わり、犯罪を始め、社会で起こっている出来事に対する考えや見方が大きく変化したのを覚えています。
犯罪被害者のための支援活動に携わり始めて25年、振り返ってみるとスタート当初は手探りで、被害者の方のニーズにどうすれば応えることができるのか試行錯誤しながら、知識や技法を懸命に学びつつ相談・支援に向かい合う日々であった。
民間による被害者支援を始められて30年という節目の年、「犯罪被害者等が全国どこにいても、いつでも、求める支援が受けられる活動」の実現を目指して着実に前進している全国被害者支援ネットワークの一員として体験したことの一端を思い起こし、今後の被害者支援活動に活かしていきたいと思います。