日本での被害者支援活動は新しい分野であったため、支援に携わる人たち皆さんが最初からその理念を理解し、支援スキルを持っていたわけではない。被害者から電話相談を受けて共感し、傾聴するという姿勢の支援だけでは被害者には不十分だった。
歩道を歩いていた長男が飲酒運転の車に轢き逃げされて亡くなった。まだ18才だった。 警察からの知らせに「友達の車にでも同乗していたのかな?たいした怪我でないので大丈夫」と根拠もなく自分に言い聞かせ、がたがた震える体でバッグにパジャマ類を詰め込み、大急ぎで病院に向かった。救急室に入ったとたん「お母さん遅かった…」と看護師さんから言われ、一瞬何のことなのか分からず立ち尽くした。現実を突きつけられ「どうして、なんで、うそ…、イヤー…」と泣き叫ぶしかなかった。ただただ悲しくて可哀想で涙が溢れ、入院用にと準備してきたティツシュはあっという間に無くなった
2022年開催「全国犯罪被害者支援フォーラム2022」講演。
事故直後の暗い気持ちから変化していったこと、ご遺族としてのご活動。
子どもが犯罪被害に遭ったり、家族が犯罪被害に巻き込まれたりしたとき、大人目線では分からない困難を子どもは抱える。そんな子どもが安心して暮らせる日常を取り戻すには様々な関係機関による支援、連携が不可欠。今回はきょうだいへの支援を中心に、パネリストの意見や架空事例を通じて「民間団体と関係機関の連携した支援の在り方」を検討した。