実際に特化条例が制定施行された自治体はまだまだ少ない。そこで「特化条例を全国の自治体に!」との願いを込めて条例づくりを後押しする特集を組んだ。
被害者の多様なニーズに応えて、中長期にわたり必要な支援が途切れることなく提供されるためには、被害者が生活するそれぞれの地域社会において被害者支援の確固とした基盤が整備される必要がある
第3次犯罪被害者等基本計画に「被害が潜在化しやすく、ニーズの把握が困難」な性被害者や子どもへの支援の重要性がうたわれていることを踏まえ、議論を進めるにあたって問題提起した。地域社会で子どもや被害者家族を支えていく風土づくりを呼び掛ける。
犯罪被害に遭われた方やご家族にとって、身近な行政窓口である市役所や町村役場は果たして頼りになるだろうか? 心身に深い傷を負ったり、日常生活が手につかなかったり、さまざまな手続きに戸惑ったりしている時、親身に声をかけ、必要な支援を行い、関係先にきちんと橋渡しをしてほしい—。そんな被害者の方々の切実な願いがかなうようにと、昨年7 月『市町村における犯罪被害者等基本条例案』が発表された。
犯罪被害者や家族・遺族らの方々(犯罪被害者等)が基本法の理念にある「個人の尊厳が重んじられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される」状態には、まだまだ遠い。そうしたなか、全国の地方自治体では、基本法を受け、犯罪被害者等の支援をうたった条例を制定する動きが広がりつつある。生活に身近な自治体での支援条例には、どんな効果が見込めるか? 今後の課題は?