私はこれまで、警察庁の付属機関の科学警察研究所で、犯罪被害を予防するための心理学研究に取り組んできましたが、その中で、ご縁を得て、平成29年度の犯罪被害類型別調査に参画させていただきました。本稿では、私のこれまでの研究から、ストーカー・DV の相談記録の分析と、犯罪被害類型別調査について紹介し、犯罪学や社会心理学の実証研究(統計分析やアンケート調査)が、犯罪被害者支援に貢献できる可能性を述べたいと思います。
令和3年3月30日、計画期間を3年4月1日から8年3月31日までの5か年とする第4次犯罪被害者等基本計画(以下「第4次基本計画」という。)が閣議決定された。私は、令和2年8月から現職となり、第4次基本計画の策定に携わることとなったので、その策定経緯、今後の課題、具体的施策等について述べることとする。
平成30年3月、犯罪被害給付制度が改正された。この改正は、犯罪により親を亡くした遺児、犯罪被害により長期療養に苦しむ方、事実上親族関係が破綻した者から被害を受けた方などに対する支援を拡充するとともに、それまでほとんど活用されなかった仮給付金制度の柔軟な運用を可能とするものであった。令和元年度には拡充後の給付が18件、仮給付金制度も10件適用されている。全国の担当者が改正の趣旨に沿って日々給付事務に当たってくださっていることに心から敬意を表する次第である。
平成23年8月から平成26年8月までの間、警察庁犯罪被害者支援室長として勤務したことから、当時、携わった犯罪被害者支援要綱の運用や犯罪被害給付制度改正について振り返りたい。
平成16年に犯罪被害者等基本法が制定されて以降、我が国の犯罪被害者等施策は大きな進展を遂げ、地方公共団体における犯罪被害者等施策も着実に進んできたといえる。私は、平成30年4月から令和2年4月までの約2年間、法務省(東京地方検察庁)から警察庁に出向し、犯罪被害者等施策担当参事官として勤務させていただいたが、この間にも、地方公共団体において、犯罪被害者等に適切な情報提供等を行う相談窓口(総合的対応窓口)の設置が進み、平成31年4月までに市区町村を含む全ての地方公共団体に設置されたほか、全国の地方公共団体において、犯罪被害者等の支援に特化した条例を制定する動きが広がった。