本年令和3(2021)年は、犯罪被害者等給付金支給制度が施行されてから40年、また、民間の被害者支援が具体化される大きなきっかけとなった「犯給制度発足10周年記念シンポジウム」開催から30年という節目の年に当たる。この機会に、私の目から見た被害者支援の進展を、被害者の法的地位の向上、中でも、刑事手続における被害者の参加の拡充という視点から若干の感想を述べさせていただきたい。
日本における民間の犯罪被害者支援活動は、1992年4月に東京医科歯科大学の山上皓教授が自らの研究室で犯罪被害相談室を創設されたことから始まりました。今年30年目を迎え、これまでの犯罪被害者支援活動を振り返りますと誠に感慨深いものがあります。
2019年3月15日、県議会に上程された「三重県犯罪被害者等支援条例」(以下「条例」という。)が全会一致で可決され、翌月1日、施行されました。私は、三重県警察からの出向として、条例が採決される1週間前に現在の所属に着任し、条例制定を熱望されていた犯罪被害者ご遺族の方と採決の場に立ち会うことが、着任後の私の最初の仕事でした。
私が犯罪被害者支援と関わることになったのは、平成26年4月に、宮城県警察から警察庁(犯罪被害者支援室)に出向してからとなります。それまでの私は、主に刑事警察に身を置き、「被疑者の検挙が一番の被害者支援」と考え、職務に従事していました。しかし、警察庁犯罪被害者支援室において犯罪被害者等給付金の業務に携わってみると、犯罪捜査と同様に、被害者が元の生活を取り戻していくための支援業務がとても重要で期待されていることを身を持って知りました。
事故発生直後に行う支援は、後の被害者支援の流れを作る上で重要な役割を持ちます。滋賀県警察では、死傷者多数の事故が発生した場合に被害者支援現地対策室を設置するという規定を設けており、これに基づき、発生現場を管轄する大津警察署に被害者支援現地対策室を設置し、支援室長以下5名をすぐに派遣しました。