私は、9年前に大切な家族である妹を殺害されました。それ以来多くの方に支えられ、被害者支援があったからこそ、私も残された家族も、犯罪被害者としての悲しみや辛さになんとか耐えてこられたのだと思います。被害者遺族として支援されるばかりで、本来であればここに寄稿するような立場ではないのですが、せっかくいただいた機会ですので、この9年を振り返ることでこれからの犯罪被害者支援充実に何か役立つことがあればと思い、書かせていただきます。
今から15年前の2005年、被害者が待ち望んでいた犯罪被害者等基本法(前年成立)が4月に施行され、12月には、犯罪被害者等基本計画が策定されました。基本法は全国犯罪被害者の会(あすの会)が55万人以上の署名を集めて総理大臣に提出したことなどが原動力となって実現しました。2005年11月27日には全国被害者支援ネットワークとハートバンドが共催で犯罪被害者等基本法制定記念全国大会を開催し、被害者と支援者が一緒に基本法の制定を祝いました。前日、日比谷公園まで皆でパレードしましたが、被害者に取って新しいページが始まるのだという思いで、笑顔で歩いたのを記憶しています。
全国の被害者団体が「ハートバンド」という連合体として正式発足したのは、基本法が施行された2005年です。その年の大会前日11月27日には「犯罪被害者等基本法制定記念全国大会」の横断幕を先頭に、「きぼう」の風船を手に都内パレードも行いました(写真)。2006年以降の大会は、犯罪被害者等基本計画(以下「基本計画」)に定められた犯罪被害者週間(11月25日~12月1日)の中で、「いのち・きぼう・未来」を大会テーマに、交流討議を重ねています。
犯罪被害者民間支援30年・犯罪被害給付制度及び救援基金40年記念誌の作成にあたり、NNVS認定コーディネーターの立場から犯罪被害者等の支援について記念誌へ寄稿させていただくことはたいへん光栄なことであり、責任の重さを感じております。はじめに、NNVS認定コーディネーターの活動を通じて、犯罪の被害に遭われた方やそのご家族・ご遺族の方々への支援が、より一層充実していくために、私たちNNVS認定コーディネーターの役割とその活動をご紹介し、その後に、私がこれまでの活動の中で学んだ被害者支援について述べさせていただきたいと思います。
私が被害者支援に関わることになったのは平成8年、警察での被害者支援が始まったころに遡ります。当時勤務していた警察の部署が被害者支援の担当部署となり、相談担当者として指名されすぐ、東京医科歯科大学犯罪被害者相談室で1ヶ月間の研修を受けることとなりました。これを機に、自分自身の中に「犯罪被害者支援」という新たな視点が加わり、犯罪を始め、社会で起こっている出来事に対する考えや見方が大きく変化したのを覚えています。