私は児童青年期の精神科医として臨床に携わっており、犯罪被害に遭ったお子さんやご家族と出会います。勤めている兵庫県こころのケアセンターは阪神・淡路大震災後の心のケアをする組織で、付属の診療所ではPTSD(心的外傷後ストレス障害)に特化したTF- CBTという治療プログラムを提供しています。
これまでのフォーラムは、コロナ流行による「異例づくし」の連続でしたが、本年はコロナも終息に近づき、ようやく4 年ぶりに入場制限せずに従前どおりの正常な運営となりました。参加した方々からも「久しぶりにフォーラムに参加できました」等の声が寄せられました。
2023 年4月25日に公表された「犯罪被害者等施策の一層の推進のための提言」(自由民主党政務調査会・司法制度調査会)は、「1.はじめに、2.基本理念、3.具体的施策 ①犯罪被害給付制度の抜本的強化、②被害者支援弁護士制度の創設、③司令塔機能の強化[ 国における司令塔機能の強化、地方における途切れない支援の提供体制の強化、デジタルトランスフォーメーション推進、犯罪被害者等のための制度等の拡充(医療、生活、教育、納税、特化条例及び支援制度)]、4.おわりに」という構成になっている。
犯罪被害者支援との出会いから振り返り、犯罪被害者のメンタルヘルスの課題と、その心理的支援のあり方。そして、犯罪被害者等施策との関連についての推進、現状の精神科医療と支援団体等の連携について、お話をさせていただきたいと思います。
ご存じのように、2004年に犯罪被害者等基本法が施行され、その際に基本計画ができました。それが第2次、第3次と改正され、2021年からは第4次の基本計画に則り、被害者支援が展開されていっております。 今回のパネルでは「被害者が望む支援のために」という視点から「第4次犯罪被害者等基本計画」について、ディスカッションを行っていきたいと思います。