今から15年前の2005年、被害者が待ち望んでいた犯罪被害者等基本法(前年成立)が4月に施行され、12月には、犯罪被害者等基本計画が策定されました。基本法は全国犯罪被害者の会(あすの会)が55万人以上の署名を集めて総理大臣に提出したことなどが原動力となって実現しました。2005年11月27日には全国被害者支援ネットワークとハートバンドが共催で犯罪被害者等基本法制定記念全国大会を開催し、被害者と支援者が一緒に基本法の制定を祝いました。前日、日比谷公園まで皆でパレードしましたが、被害者に取って新しいページが始まるのだという思いで、笑顔で歩いたのを記憶しています。
私の所属する「紀の国被害者支援センター」は、平成9年に全国で6番目に和歌山市内に任意の団体として設立し、平成22年に公益社団法人の認定を受け、23年に県公安委員会から、被害者支援を適正且つ確実に行うことができる営利を目的としない法人として「犯罪被害者等早期援助団体」に指定され、被害直後から被害に遭われた方やそのご家族又はご遺族の方々にそっと寄り添い、ニーズに応じたきめ細やかな総合的な被害者支援活動に地方公共団体(県・市町村)「(以下「地方公共団体」という。)」をはじめ県内の各専門の支援機関の皆さま方と連携して取り組んでいます。
2019年3月15日、県議会に上程された「三重県犯罪被害者等支援条例」(以下「条例」という。)が全会一致で可決され、翌月1日、施行されました。私は、三重県警察からの出向として、条例が採決される1週間前に現在の所属に着任し、条例制定を熱望されていた犯罪被害者ご遺族の方と採決の場に立ち会うことが、着任後の私の最初の仕事でした。
私は、「20年誌」ではその企画編集に携わりつつ、今日の被害者支援の出発点となった平成3年の「10周年記念シンポジウム」から13年の犯罪被害者等給付金支給法の全面改正までを中心に書かせていただき、「30年誌」では13年改正を再度振り返りつつ、その後筆者が関わった被害者施策、特に山形県警察本部長を務めていた時に手がけた全国初の緊急貸付制度や、全国3番目で、被害者支援についても盛り込んだ「飲酒運転防止条例」、そして私の離任後に実現を見た、全国3番目の特化条例である「山形県犯罪被害者支援条例」を中心に書かせていただいた。
都道府県の犯罪被害者支援に特化した条例は順調に増加
を続けており、まったく制定の予定のないところは少数。その一環である見舞金制度と、条例制定後の運用の検証という問題を取り上げる。