パネルディスカッションでは、コーディネーターの熊谷さんが犯罪被害相談の中で性犯罪被害の割合が年々高まっている状況について「社会の偏見が少なくなり、被害申告がしやすくなったことで被害者が声をあげられるようになった」と評価しつつ、「被害者の信頼をさらに高めるためには関係機関の連携がますます重要になる」として、性犯罪被害者支援に携わっている3人のパネリストに現状や課題、今後の展望などを問いかけた。
「犯罪被害者支援におけるカウンセリングの役割」について、「心の傷」やPTSD(心的外傷後ストレス障害)の臨床研究でわが国の第一人者である飛鳥井理事にうかがった。
近年、海外のPTSD治療ガイドラインで推奨されている治療法は、薬物では抗うつ薬として知られる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)であり、心理療法では認知行動療法とEMDRです。中でも、認知行動療法としてのPE療法(プロロングド・エクスポージャー)は、大人のPTSDに対して最も多くの臨床試験で有効性を証明されてきた治療法です。
大切な人を失うことはいかなる場合でも残された人々に大きな苦痛を与えます。このような死別体験のあとには、悲しみや嘆きなどの心の反応の他に息苦しい、食欲がないなどの体の変調やひきこもってしまうなどの行動の変化がしばらく続くことがあります。