公益社団法人全国被害者支援ネットワーク(NNVS)では、日本財団の助成を受けた海外調査事業として、欧州の先進的な被害者支援の取組みの実態を学ぶ目的で、令和7(2025)年9月14 日から9 月21 日の8 日間に10 名の視察団を派遣した。派遣先はフィンランドのヘルシンキとイギリスのロンドンの2 都市である。同じく日本財団の助成を受けた前回の海外調査事業(イギリスおよびドイツ)(注)以来9 年ぶりの視察であるが、この間のイギリスとEUの犯罪被害者支援活動の新たな展開を現地で見聞できたことは、前回にも増して、実に多くの刺激と学びを得る機会となった。
我が国における被害者支援は、被害者の声を真摯に受け止めた関係機関の努力により、この数十年で飛躍的な進歩を遂げ、中には我が国特有の支援策も策定されているとの評価もあります。とはいえ、なお必要とされる支援は多いと指摘され、残された課題も少なくありません。そこで、当ネットワークは、第5 期5年計画の中に、その後さらに発展を続けている海外の被害者支援の実態を把握し、我が国における犯罪被害者支援活動の進展に役立てる項目を立てました。

私は社会教育学の専門家で、ヴィースバーデン犯罪被害者・証人支援センターでは相談員として6 年前から働いています。相談員は3 名いますが、全員が社会教育学の学位を持っています。また、トラウマ専門カウンセラー、カウンセリング技術、ゲシュタルト療法、刑事事件における調停人などの資格も取得しています。このうち2 人の勤務時間は週40 時間のフルタイムで、1 人は週30 時間です。それから総務を担当する職員が2 人おり、勤務時間は週20 時間と週9 時間です。彼女たちは電話応対やアポの管理、会計、その他の総務を行っています。施設は社団法人として登記されていますが、この社団法人はボランティアの理事3 名が率いています。

私は2015 年8 月まで裁判官として、上級地方裁判所で銀行法を専門とする民事法廷を率いていました。また、ボランティアで本日ご紹介するヴィースバーデナー・ヒルフェの理事職を24 年前から務めています。これと並行して、ドイツ国内の専業プロ職員による犯罪被害者支援組織を統括する被害者援助労働共同体(ado)の理事会メンバーでもあります。本日は時間の関係で短く、かつ要約になってしまいますが、2 つのテーマについてお話しできることを、特別な喜びと感じております。1 つはドイツにおける刑事犯罪被害者の法律で保障された権利、特に刑事訴訟手続きにおける権利です。そして2 つ目は、ドイツの犯罪被害者に対する支援サービスについてです。

犯罪被害者とその家族または遺族(以下、「犯罪被害者等」という。)に対する支援施策は、1960 年代から本格的に始まるが、イギリス(イングランド及びウェールズ)⑴は、犯罪被害者対策先進国として、今日まで目を見張る発展を遂げてきており、コモン・ウェルスの諸国だけではなく、常に世界の犯罪被害者対策をリードし、各国の対策の進展に大きな影響を与えてきた。