Crown Court(刑事法院、裁判所)は、イングランド及びウェールズにおける刑事事件(殺人、強盗、強姦等)を扱う裁判所である。被告人が争った場合は陪審裁判が行われ、判決は終身刑まで言い渡す権限を持ち、イングランド及びウェールズの約90 カ所に設置されている。Inner London Crown Court は1971 年に設置された。建物は1917 年に建造されたもので、現在は増設され10 の法廷がある。 Citizens Advice(CA)は、Inner London Crown Court 内に専用の事務所と弁護・検察から独立した証人待合室を確保している。被害者等が証人として出廷する際に、裁判手続きに関する情報を提供したり、証言に対して不安を持つ被害者に対する付添サービスを行ったりしている。
Citizens Advice(シチズンズ・アドバイス=市民相談所、以下「CA」)は1939 年に創立された。グレートブリテン(イングランド、ウェールズ、スコットランド)及び北アイルランド連合王国(以下「UK」)の338 の独立慈善団体のサービスネットワーク組織で、28,500 人(ボランティア約22,000 人、有償スタッフ6,500 人)のスタッフを抱えるUK最大の独立相談機関(助言提供組織)であり、全ての人々の金銭上、法律上、消費者としての様々な問題に対して、個別の情報、アドバイスを無料で提供している。
2007 年に開設。性暴力に関するサービスとして、サンディフォード性保健サービスの一環として実施されている。サービスの対象地域は、大グラスゴーとクライドおよびその周辺地域で、スコットランドの南西部である。 性被害を受けセンターに相談に来ると、法医学的検査を受けることが可能であり、その後、数カ月にわたって継続した支援が受けられるワンストップサービスを提供している。
イギリス(イングランド及びウェールズ)では、1964 年初めて犯罪被害者等に対する経済的支援制度であるCICS が創設され、現在では1995 年犯罪被害補償法(TheCriminal Injuries Compensation Act)及び2012 年同法改正に基づく運用がなされている。
全国被害者支援ネットワークでは、日本財団の助成を受けた海外調査事業として、欧州の先進的な被害者支援の取組みの実態を学ぶ目的で、平成28 年2 月28 日- 3 月6 日に9 名の調査団を派遣した。訪問都市は、英国のグラスゴー、ロンドン、ドイツのヴィースバーデンとマインツである。周知のように、これまでの約40 年間、犯罪被害者支援活動において国際的にも模範となってきたのは、英国のヴィクティム・サポートやドイツのヴァイサー・リング(白い環)といった、豊富な資金力と多数のボランティア・スタッフに支えられた民間被害者支援組織である。両組織の活動に関しては、これまで我が国でもいろいろな機会に紹介されている。しかし最近になり、先進的と言われてきたその両国にもさらに新たな動きがあり、今回の調査事業が重点を置いたのは、英国やドイツで実際の被害者支援活動がどのように運用されているのか、その最新の内容についてできるだけ具体的な情報を得ることであった。その目的のために、日程上の制約も考慮した上で、調査テーマと訪問先を絞り込み、ヒアリングと質疑にそれぞれ十分な時間を当てるようにした。