私は社会教育学の専門家で、ヴィースバーデン犯罪被害者・証人支援センターでは相談員として6 年前から働いています。相談員は3 名いますが、全員が社会教育学の学位を持っています。また、トラウマ専門カウンセラー、カウンセリング技術、ゲシュタルト療法、刑事事件における調停人などの資格も取得しています。このうち2 人の勤務時間は週40 時間のフルタイムで、1 人は週30 時間です。それから総務を担当する職員が2 人おり、勤務時間は週20 時間と週9 時間です。彼女たちは電話応対やアポの管理、会計、その他の総務を行っています。施設は社団法人として登記されていますが、この社団法人はボランティアの理事3 名が率いています。
私は2015 年8 月まで裁判官として、上級地方裁判所で銀行法を専門とする民事法廷を率いていました。また、ボランティアで本日ご紹介するヴィースバーデナー・ヒルフェの理事職を24 年前から務めています。これと並行して、ドイツ国内の専業プロ職員による犯罪被害者支援組織を統括する被害者援助労働共同体(ado)の理事会メンバーでもあります。本日は時間の関係で短く、かつ要約になってしまいますが、2 つのテーマについてお話しできることを、特別な喜びと感じております。1 つはドイツにおける刑事犯罪被害者の法律で保障された権利、特に刑事訴訟手続きにおける権利です。そして2 つ目は、ドイツの犯罪被害者に対する支援サービスについてです。
犯罪被害者とその家族または遺族(以下、「犯罪被害者等」という。)に対する支援施策は、1960 年代から本格的に始まるが、イギリス(イングランド及びウェールズ)⑴は、犯罪被害者対策先進国として、今日まで目を見張る発展を遂げてきており、コモン・ウェルスの諸国だけではなく、常に世界の犯罪被害者対策をリードし、各国の対策の進展に大きな影響を与えてきた。
Weisser Ring は、ドイツで全国展開している唯一の犯罪被害者支援団体である。◦欧州全土でネットワークを持ち活動している。◦今年2016 年は創立40 周年である。◦直接支援要員としてボランティアは3,200 人、専業職員は全国に100 人いる。◦公的支援を一切受けず、寄附、会費で賄い、財源は合計1,700 万ユーロである。◦寄附以外にも、約5 万人からの会費、罰金からの割り当て金、遺言による遺贈等がある。◦研修、ロビー活動、国際的・国内ネットワーク作りに予算を割り当てている。◦公的支援は受けていないので独立した立場でロビー活動を行うことができる。◦国内に420 ヵ所の地方支部があり、活動は、直接各種当局への同行付添い、金銭的援助等様々な分野に及ぶ。
ドイツ最初の訪問先として、フランクフルトから車で約1 時間の距離にあるヘッセン州ヴィースバーデン(Wiesbaden)の司法省を訪問した。ここでは犯罪被害者支援に果たす司法省の役割、ドイツにおける犯罪被害者の権利、犯罪被害者に対する支援サービス、ヴィースバーデン犯罪被害者・証人支援HILFE についての紹介があった。【司法省の紹介】○司法省は、被害者の権利の法律の改定を目的とし連邦16 州に設置されている。○司法省としての課題は民間組織との連携強化にある。【組織の管轄】○刑事犯罪法、刑事犯罪訴訟法等の改正は、国の専管事項で、国が犯罪被害者保護を定めている。○法律の適用については、各16 州に委ねられているが、州によって対応にばらつきがある。