私が犯罪被害者支援と関わることになったのは、平成26年4月に、宮城県警察から警察庁(犯罪被害者支援室)に出向してからとなります。それまでの私は、主に刑事警察に身を置き、「被疑者の検挙が一番の被害者支援」と考え、職務に従事していました。しかし、警察庁犯罪被害者支援室において犯罪被害者等給付金の業務に携わってみると、犯罪捜査と同様に、被害者が元の生活を取り戻していくための支援業務がとても重要で期待されていることを身を持って知りました。
事故発生直後に行う支援は、後の被害者支援の流れを作る上で重要な役割を持ちます。滋賀県警察では、死傷者多数の事故が発生した場合に被害者支援現地対策室を設置するという規定を設けており、これに基づき、発生現場を管轄する大津警察署に被害者支援現地対策室を設置し、支援室長以下5名をすぐに派遣しました。
私はこれまで、警察庁の付属機関の科学警察研究所で、犯罪被害を予防するための心理学研究に取り組んできましたが、その中で、ご縁を得て、平成29年度の犯罪被害類型別調査に参画させていただきました。本稿では、私のこれまでの研究から、ストーカー・DV の相談記録の分析と、犯罪被害類型別調査について紹介し、犯罪学や社会心理学の実証研究(統計分析やアンケート調査)が、犯罪被害者支援に貢献できる可能性を述べたいと思います。
令和3年3月30日、計画期間を3年4月1日から8年3月31日までの5か年とする第4次犯罪被害者等基本計画(以下「第4次基本計画」という。)が閣議決定された。私は、令和2年8月から現職となり、第4次基本計画の策定に携わることとなったので、その策定経緯、今後の課題、具体的施策等について述べることとする。
平成30年3月、犯罪被害給付制度が改正された。この改正は、犯罪により親を亡くした遺児、犯罪被害により長期療養に苦しむ方、事実上親族関係が破綻した者から被害を受けた方などに対する支援を拡充するとともに、それまでほとんど活用されなかった仮給付金制度の柔軟な運用を可能とするものであった。令和元年度には拡充後の給付が18件、仮給付金制度も10件適用されている。全国の担当者が改正の趣旨に沿って日々給付事務に当たってくださっていることに心から敬意を表する次第である。