犯罪被害者民間支援30年・犯罪被害給付制度及び救援基金40年記念誌の作成にあたり、NNVS認定コーディネーターの立場から犯罪被害者等の支援について記念誌へ寄稿させていただくことはたいへん光栄なことであり、責任の重さを感じております。はじめに、NNVS認定コーディネーターの活動を通じて、犯罪の被害に遭われた方やそのご家族・ご遺族の方々への支援が、より一層充実していくために、私たちNNVS認定コーディネーターの役割とその活動をご紹介し、その後に、私がこれまでの活動の中で学んだ被害者支援について述べさせていただきたいと思います。
私が被害者支援に関わることになったのは平成8年、警察での被害者支援が始まったころに遡ります。当時勤務していた警察の部署が被害者支援の担当部署となり、相談担当者として指名されすぐ、東京医科歯科大学犯罪被害者相談室で1ヶ月間の研修を受けることとなりました。これを機に、自分自身の中に「犯罪被害者支援」という新たな視点が加わり、犯罪を始め、社会で起こっている出来事に対する考えや見方が大きく変化したのを覚えています。
犯罪被害者のための支援活動に携わり始めて25年、振り返ってみるとスタート当初は手探りで、被害者の方のニーズにどうすれば応えることができるのか試行錯誤しながら、知識や技法を懸命に学びつつ相談・支援に向かい合う日々であった。
犯罪被害者支援に大切なものは3つのS~System(法制度や条例)、Skill(支援者の能力や技術)、Spirit(魂や信念)~と考えています。それは、どれが欠けても、被害者への支援は実効性がなくなったり、薄っぺらくなったりしてしまうからです。この中でSkill が相談員や支援員の人材育成に最も密接なものにあたります。
民間による被害者支援を始められて30年という節目の年、「犯罪被害者等が全国どこにいても、いつでも、求める支援が受けられる活動」の実現を目指して着実に前進している全国被害者支援ネットワークの一員として体験したことの一端を思い起こし、今後の被害者支援活動に活かしていきたいと思います。