これまでに数多くの都民センター利用者が、有効なPTSD 治療の恩恵を受け、犯罪被害による精神的後遺症からの回復の道をたどることができました。その実績から、当初は2名の心理専門職で取り組んでいたPE 療法を、現在の都民センターでは7名の心理専門職が実施しています。そのうち4名は同療法のスーパーバイザーとしての指導者資格も有しています。さらにコロナ禍の下では、ウェブを利用したオンライン形式での同療法の提供も積極的に活用しています。
この度、「あすの会が果たした役割とつなぐ会の活動が目指すもの」とのテーマで執筆依頼を頂き、私にその資格があるのかと途惑いましたが、私が見てきたあすの会、と読み替えて書かせて頂くことと致します。
私は、9年前に大切な家族である妹を殺害されました。それ以来多くの方に支えられ、被害者支援があったからこそ、私も残された家族も、犯罪被害者としての悲しみや辛さになんとか耐えてこられたのだと思います。被害者遺族として支援されるばかりで、本来であればここに寄稿するような立場ではないのですが、せっかくいただいた機会ですので、この9年を振り返ることでこれからの犯罪被害者支援充実に何か役立つことがあればと思い、書かせていただきます。
今から15年前の2005年、被害者が待ち望んでいた犯罪被害者等基本法(前年成立)が4月に施行され、12月には、犯罪被害者等基本計画が策定されました。基本法は全国犯罪被害者の会(あすの会)が55万人以上の署名を集めて総理大臣に提出したことなどが原動力となって実現しました。2005年11月27日には全国被害者支援ネットワークとハートバンドが共催で犯罪被害者等基本法制定記念全国大会を開催し、被害者と支援者が一緒に基本法の制定を祝いました。前日、日比谷公園まで皆でパレードしましたが、被害者に取って新しいページが始まるのだという思いで、笑顔で歩いたのを記憶しています。
全国の被害者団体が「ハートバンド」という連合体として正式発足したのは、基本法が施行された2005年です。その年の大会前日11月27日には「犯罪被害者等基本法制定記念全国大会」の横断幕を先頭に、「きぼう」の風船を手に都内パレードも行いました(写真)。2006年以降の大会は、犯罪被害者等基本計画(以下「基本計画」)に定められた犯罪被害者週間(11月25日~12月1日)の中で、「いのち・きぼう・未来」を大会テーマに、交流討議を重ねています。