犯罪被害者等基本法(以下「基本法」といいます。)の基本理念にあるとおり、犯罪被害者等の支援の最終的目標は平穏な日常生活を確保することですが、個別の生活場面だけではなく被害直後から医療・福祉、住宅、雇用など「生活全般にわたる支援」という切口でその取組が強調されたのは、ここ数年来のことではないかと思います。2008年、基本法を踏まえた犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律の改正により、被害の早期軽減にとどまらず、支援の射程が、平穏な生活の確保までとすることとされましたが、2016年にスタートした第3次犯罪被害者等基本計画において、同計画のポイントの一つとして被害者等の「生活全般にわたる支援」が掲げられ、その項目として「専門職の活用を含めた地方公共団体における支援の充実促進」と「民間の被害者等の援助を行う団体の活動促進」の2つが示されました。そして、同計画には、被害者等に対して「生活全般にわたる支援」を提供できるよう地方公共団体や民間団体とともに、継ぎ目のない支援体制を構築し、被害者等を中長期的に支援するという視点からの体制整備への取組が行われなければならない、ということが記載されたのです。今、まさに、被害者等の身近なところで、平穏な生活の確保まで「生活全般にわたる支援」が求められているのです。