今年、2021年(令和3年)は、犯罪被害給付制度が施行されてから40年、民間の被害者支援が始まるきっかけとなった犯給制度発足10周年記念シンポジウムから数えて30年という節目の年に当たる。日本被害者学会も1990年の設立であるから、昨年、創立30周年を迎えている。この間、全国に民間の被害者支援センターが整備され、犯罪被害者に対する相談や直接支援事業が着実に実績を積み上げてきている。また、実現した被害者支援制度も多岐に亘る。被害者への情報提供という面では警察の被害者連絡制度や検察庁の被害者等通知制度により刑事手続の進捗状況等についての情報が通知されるようになり、消極論も根強かった刑や処分の執行状況に関する情報提供も実現している。被害者が捜査の過程で負担を被ることがないよう様々な配慮がなされるようになり、遮へい措置やビデオリンク証言、被害者等の特定事項の秘匿など公判での二次被害を予防するための各種制度も設けられるに至った。また、被害者の手続関与については、被疑者・被告人の人権保障の観点から反対論も唱えられたが、被害者が公判で意見陳述を行い、或いは少年審判の過程で意見聴取を受ける制度が導入され、ついには一定の範囲で被害者が公判に関与する被害者参加制度も実現し、概ね良好に運用されている。こうした各種制度の実現には、2004年に制定された犯罪被害者等基本法とそれに基づく犯罪被害者等基本計画の策定が大きく寄与したことも忘れてはならない。