犯罪被害者支援の歴史と犯罪被害者の遺族の活動は深い関わりがある。犯罪被害給付制度以前、公的な犯罪被害者支援がない現状に対して、1967年に息子さんを殺人で失ったご遺族である市瀬朝一氏が「犯罪による被害者補償制度を促進する会」を立ち上げたことが最初の草の根の活動であったとされている。その後三菱重工爆破事件(1974年)を契機に1980年に犯罪被害者給付制度が設立されるが、残念ながら市瀬氏はその制度の設立を見ることはできなかった。犯罪被害給付制度は国による最初の被害者への経済的支援であったが、この時点では被害者のメンタルヘルスのケアはまだ支援の対象とされていなかった。