我が国の犯罪被害者は、生命身体等に重大な侵害を受けた事件の重要な当事者でありながら、長い間刑事司法制度からも社会からも「忘れられた存在」であった。多くの犯罪被害者は、我が国の犯罪被害者支援の充実を願いながらも、声をあげることさえ出来ず、苦しんできた。 犯罪は社会の規範に反し、人間の基本的な権利を侵害するものであり、また誰もが犯罪被害者となりうる。それゆえに、犯罪被害者を理解と配慮をもって支援し、その回復を助けることは、本来、社会の当然の責務である。 犯罪被害者が大きな打撃から立ち直り、人間としての幸福を求めて再び歩み始められるように、犯罪被害者の権利を確立することは、単に福祉の増進にとって必要であるばかりでなく、国民の刑事司法に対する信頼を高め、社会全体の利益につながるものである。 国、地方公共団体は、被害者支援のための総合的な施策を講ずる責務を担うべきである。また、国民は、犯罪被害者のおかれている状況を理解し、支援に協力することが求められる。 全国被害者支援ネットワークは、このような認識に立ち、ここに以下の犯罪被害者の権利を宣言する。