平成29年度版の『犯罪白書』(1)によると、わが国の犯罪発生率は、凶悪犯も含め、平成8 年から14年までは増加傾向にあったが、15年に減少傾向に転じて以来、減少傾向の一途を辿り、毎年戦後最低を記録している。とはいえ、残念ながら、いわれのない犯罪被害を受ける人々は絶えない。犯罪被害者等(以下、「被害者等」という。被害を受けた者の他、その家族、遺族を含む。)は、従来、犯罪に巻き込まれても、十分な支援を受けられずに社会で孤立することが多く、その権利・利益が保護されることが少なかった。しかし、こうした被害者等の置かれた理不尽な現状に対して、誰しも犯罪の被害を受け得る以上、被害者等に対して支援の手を差し伸べるべきであるという声が1990年代後半から高まり、とりわけ「全国犯罪被害者の会」(あすの会)という被害者等の自助グループによるロビー活動等の積極的な立法運動が展開された。