「性暴力はなぜ『暴力』なのか」について話していきます。私は心理職として心理の境界線という概念で考えます。境界線は、自分が安心と感じる領域を守る線です。例えば「シャープペンシルを貸して」と言って、「いいよ」と言われて借りるのが普通です。貸すか貸さないかは持ち主が決めていい。性にも境界線があって、いつ、誰と、どんな性的行為をするか、自分で決めていいはず。自分の意志や感情がないがしろにされると、安心や安全が脅かされるということです。子どもの頃から性の境界線が侵害されていると感じています。スカートめくりやズボンおろしを多くの人が覚えています。それで傷ついても、「気にしないで」「いたずらだよ」と言われる。そうなると自分の体は大事にされていない、体の決定権は自分にはないと感じ、自分の性的な境界線を決めるのが難しくなっていく。そういう社会ではないかと。