刑法学の世界に入って最初に関心を抱いたのは過失犯でした。1970年代の過失犯論争を学んだことから、過失犯罪者の研究に取り組むことにしました。過失犯罪者の大半は交通犯罪者だったので、同志社大学大学院での研究テーマは「交通犯罪者の処遇」となりました。この時代には、まだ犯罪被害者、とくに交通犯罪の被害者の問題は大きく取り上げられていなかったので、この時点では被害者の問題は取り上げていません。その後、指導教授の大谷實先生のご指導もあり、被害者についての研究を開始したのは、1990年代の終わりです。