全国被害者支援ネットワークの加盟48団体は、被害者からの相談への対応、直接的支援、自助グループへの援助、広報啓発活動、犯罪被害者等給付金の申請補助などの活動を行っている。2022年4月から2023年3月までの、加盟団体が行った相談活動と直接的支援の状況をとりまとめた。昨年度に引き続き、年度での集計となっている。
(注)性暴力被害者支援ワンストップセンターの件数も含めて計上されている。
48センターが、2022年4月から2023年3月までに取り扱った相談総数は51,810件であった。うち、犯罪被害に関わる相談が43,899件(84.7%)、犯罪には該当しないが相談電話で扱った相談が7,911件(15.3%)であった。
犯罪に該当しない相談(以下「その他」という。)としては、近親者の死別や自殺に関する相談、犯罪被害に関する一般的な問い合わせなどが含まれる。
相談の総数51,810件から、「その他」7,911件を除き、犯罪被害相談の計43,899件(以下「犯罪被害相談件数」という。)について、被害罪種別にグラフで示すと以下のとおりである。
最も多い相談は性犯罪被害(前頁グラフ中※印のついたもの)27,253件で、犯罪被害相談件数の62.1%を占める。性犯罪被害の中では、強制性交等(準含)の相談件数が最も多く11,732件(26.7%)、次いで強制わいせつ(準含)9,754件(22.2%)、その他の性的被害は4,853件(11.1%)であった。
身体犯の被害は8,946件で、犯罪被害相談件数の20.4%を占める。身体犯の中では、殺人(傷害致死)の相談件数が最も多く4,365件(9.9%)であり、暴行・傷害3,999件(9.1%)、強盗(致死傷)315件(0.7%)、その他の身体犯267件(0.6%)であった。
交通事犯は、危険運転致死傷、交通死亡事故、交通事故の計3,720件で、犯罪被害相談件数の8.5%を占めている。
また、財産的被害は3.0%、DV被害は4.3%、ストーカーは1.3%、虐待は0.5%であった。
性暴力ワンストップセンターを運営するセンターのうち16センターから、ワンストップセンタ独自のデータを提出していただいた。2022年4月から2023年3月までに取り扱った相談総数は13,527件であった。うち、犯罪被害に関わる相談が11,485件(84.9%)、犯罪には該当しないが相談電話等で扱った相談が2,042件(15.1%)であった。
相談の総数13,527件から、「その他」2,042件を除く、犯罪被害相談の計11,485件(以下「犯罪被害相談件数」という。)について、被害罪種別の件数をグラフで示す。
性犯罪被害(上記グラフ中のついたもの)の中では、強制性交等の相談件数が最も多く4,750件(41.4%)、次いで強制わいせつ3,273件(28.5%)、その他の性的被害2,566件(22.3%)であった。DV被害は2.2%、ストーカーは1.0%、虐待は0.1%であった。
電話相談が犯罪被害相談全体の70.5%、次いで電子メール、面接、手紙となっている。その他は、警察からの情報提供等である。
本人からの相談が52.2%で最も多く、次いで父または母22.1%、夫または妻3.7%、親族2.4%、子ども2.9%、友人・知人等・他機関16.8%となっている。
被害者からの相談への対応については、電話の場合、相談が最も多く28,201件、次いで他機関調整1,332件となっている。
面接の場合も相談が最も多く3,194件、次いでカウンセリングが2,212件となっている。
48センターが、2022年4月から2023年3月までに被害者等からの相談や警察からの情報提供によって行った直接的支援は、9,248件であった(犯罪被害以外の支援を除く)。以下のグラフは、直接的支援を行うための関係機関との連絡調整(その他)1,545件を除く7,703件について、その内訳を示す。
直接的支援では、被害者参加裁判への相談員による付添い、裁判傍聴への付添い、被害者に替わって裁判の記録をとる代理傍聴など裁判関連の支援が最も多く、2,236件(直接被害者等を支援した件数の29.0%)、次いで弁護士法律相談付添い1,596件(20.7%)、病院付添い674件(8.7%)、生活支援669件(8.7%)、警察関連支援665件(8.6%)、検察庁関連支援554件(7.2%)、カウンセリング付添い381件(4.9%)、自宅訪問296件(3.8%)、支援金等の支給271件(3.5%)、行政窓口等への付添い227件(2.9%)、物品の供与・貸与108件(1.4%)、宿泊施設提供26件(0.3%)となっている。
48センターが2022年4月から2023年3月までに加盟団体が開催した自助グループの件数は、238件であった。そのうち、交通死亡事故に関する開催は92件、罪種に関わらない集まりは128件、殺人(傷害致死)に関する開催は18件であった。
また、同年度の全加盟団体による広報啓発活動の回数は、3,072回であった。