亡き父親への想い
公益社団法人被害者支援センターとちぎ 自助グループ「あかし」
匿 名
「犯罪被害者の声第15集」より
いったい私たちが被告人に何をしたというのですか。私たちが何か悪いことをしたというのですか。
父は就寝中、無防備な状態で、夜中に突如侵入してきた者の、過激で執拗な暴力によって痛め付けられ、傷付けられ、骨まで折られ、そして、命を奪われました。父の体(遺体)の負傷状況や、この裁判で出てきた話を基にして考えると、父は激しい痛みの中で、悶え、苦しみ、死んでいったと思います。そのような父の最期を考えると、今でも胸が張り裂けるような思いがします。
父は八十歳をこえた老人です。七、八年ほど前からは腰痛を患っており、歩くこともままなりませんでした。それでも、車を運転して出かけることが好きで、家で採れた野菜やお米をビニール袋に小分けにして持って行き、帰ってくると「だれだれさんにあげてきた。」などと嬉しそうに話していました。弟は、そんな父を喜ばせようと、お盆に親戚一同でバーベキュー大会や孫との花火大会を計画していました。父はこれをとても楽しみにしていました。また父は、温泉も好きでよく行っており、余生を、ただ静かに、平穏に、過ごしていただけなのです。
それなのに、父は、突如として現れた犯人たちによって、無残にも痛め付けられ、傷付けられ、死に追いやられました。死の間際、父が味わわせられた恐怖や苦痛、そして無念さは、どれ程のものだったでしょうか。何の理由もなく、無残なかたちで父の命を奪った犯人たちの行ったことは、とても人間の所業とは思えません。私たち遺族は、犯人たちを絶対に許しません。私も犯人たちから暴行を受け、いまも治療を受けています。あのときの恐怖や苦痛は忘れられません。
事件の後、私たち遺族は、犯人たちに対する強い憎しみ、父を奪われた深い悲しみが絶えません。日々の生活をしていくうえで恐怖感に苛まれ、心身ともに疲れ切っています。もう親孝行もできません。とても残念でなりません。どうか父が生きていたころのような平穏な生活に戻してください。
私たち遺族が一番望んでいるのは、生きていたころの父を返してもらうことです。それができないのであれば、父が味わわせられた恐怖や苦痛、そして無念さを犯人たちにも同じように味わわせて、自らの犯した罪の重さを実感させてください。
もう一度父に会いたいです。父の命を奪った犯人たちが憎いです。犯人たちが再び社会に戻ってくれば、私たち遺族は恐怖と怒りでおかしくなります。
犯人たちは、暴力団の関係の者だということですが、一般人である私たちが、普通に狙われたという事実に、大きな恐怖を感じます。
父は命を奪われました。被告人は、七月の事件については否認しているようですが、七月の事件について、被告人が有罪と判断されたときには、私たち遺族は、被告人に、死刑が宣告されることを強く望んでいます。被告人が再び社会に戻ってくることはないと約束されない限り、私たちの平穏な生活を取り戻せません。
裁判官、そして裁判員の皆さん、どうか被告人には、私たち遺族が納得できる処罰をお願いします。