犯罪被害者に寄り添い支える 公益社団法人 全国被害者支援ネットワーク

全国被害者支援ネットワークは、全国48の加盟団体と連携・協力しながら
犯罪被害に遭われた方々へ支援活動を行なっています。

犯罪被害者の声 意見陳述

意見陳述

公益社団法人ぎふ犯罪被害者支援センター
匿   名
「犯罪被害者の声第12集より」

裁判で私の思いを伝えさせて頂きました。

私は今回の事件(殺人未遂)で二人の娘を失いかけました。
私の子供たちは、 5 年程前から加害者の事を怖がっていました。

・登校時に車で背後から忍び寄り、幅寄せした瞬間、加速する
・突然大声で怒鳴ってくる
・外で遊んでいるときに睨み付けてくる

このような嫌がらせ行為を近所の子供たちだけにしていました。小学生の子供にとってはどれほど怖い事だったかと思います。
私は妻から、近所のお母さんたちと一緒に見守りしていること、警察や自治会や加害者の姉にも相談したことを聞いていました。少しの間は嫌がらせ行為は減ったようでした。
しかし 5 年間の間、加害者はなにも変わっておらずこの事件、殺人未遂を起こしました。
証拠にあったノートには子供を殺すという明確な殺意が書かれており、以前から近所の同じ子供たちを狙っていたことは明らかです。事件時にも、他の登校班が前後にあったにもかかわらず、我が子たちを狙ったとしか思えません。薬を飲んで意識がはっきりしていなかったとのことですが、そんなはずはありません。直前の赤信号では停止をしていますし、自分の車が川に突っ込むことのないようにハンドル操作もしています。
検証実験での動画から明らかにされたように、時速40キロ前後のスピードをだして子供に突っ込む行為、人形がすごい衝撃を受け弾き飛ばされていく映像を見て、私の娘たちも弾き飛ばされた事がわかりました。

事件の夜、次女のお尻に木の枝の跡がついていた理由がわかりました。
もしランドセルがクッションになっていなかったら、もし木が無くて川に落ちていたらと考えるとあの時、無事でいたことが奇跡だと思うと同時に娘をこのような危険なめに合わせた加害者に対し言葉では表しようの無い怒りがこみあげてきます。

検証実験の動画を見て
『殺すつもりはなかった』というのは納得できません。

持続性妄想障害を患っていたということですが、それと子供たちが受けた被害と、どう関係があるのでしょうか。

減刑は法律で決まっていると説明は受けていますが、私は親として娘達にどう説明してあげたらいいのでしょうか?
【あたたたちにぶつかってきた人は精神の病気を持っていたのだから仕方がないんだよ。】と言えばいいのでしょうか?
この事件を起こす以前に持続性妄想障害だと診断されていたのに適切な処置はできなかったのでしょうか。

今回の事件においては目撃者も多数いて、その中には通学途中の子供たちも含まれます。目の前で友達が暴走車にぶつけられ跳ね飛ぶ光景、血だらけでぐったりしている姿を見た子供たちにも精神的苦痛を与えたことは間違いありません。事件当日の学校では気分が悪くなる子や泣きやまない子が多数いたと聞いています。

今、現在、長女は中学 1 年生ですが後から来る車、車の音がすると乗っている自転車を止めて道路の縁に寄り自転車から降りて車を行かせてからまた自転車に乗る、というように恐怖から慎重な行動をとります。そんな姿を見て、親として胸が締め付けられる思いです。
また事件当日から半年以上たっても被告弁護人から一切の連絡もなく、事件現場から救急車で搬送された時の治療費について病院から連絡があり、こちらから被告弁護人へ連絡しなければならない状態でした。
ここまで加害者、本人からの謝罪の言葉を聞いておらず、反省の意をまったく感じられません。
加害者の姉の証言からも、このような重大な事件を起こした加害者の今後について、真摯に向き合って考えているとは受け取れず、被害者である子供達、保護者や地域住民が安心して暮らしていく事ができません。
私達にとってはこの怒りをはじめとした感情、この事件の悲惨さを被告人の刑の長さで表していただくしかないのです。
どうか被害者家族の気持ちをご理解いただきますよう切にお願い申し上げます。

裁判で意見陳述書を読ませて頂いてから半年が経ちました。
事件後、何日かして警察の方から犯罪被害者支援センターの存在を教えていただき、私は相談に伺いました。
初めて伺うときは裁判についての相談が中心だろうと思っていましたが、この事件の内容自体が加害者宅、被害者宅、事件現場が半径 500メートル以内の近所で起こった事で、いろいろ複雑な感情、また加害者の姉が事件翌日には何事もなかったように私の家の前を散歩しているなど、苦痛の日々だった私の心の内を聞いてくださったりしてとても気分が晴れました。
その後も何度か伺い、裁判員裁判の事、被害者参加制度などの事を教えて頂きました。
また裁判の日には何もわからない私達のサポートを全てしてくださり、支援センターの方がいなければ私たちは何もできず、親として意見、気持ちを伝えれなかったと思います。
連日の裁判にも毎回来てくださり、顔をみると安心できました。不安と怒りでいっぱいでしたが、乗り越えれたのは支援センターの方のサポートのおかげだと思います。
私の子供は近所の同じ地域の加害者に故意に轢き逃げされました。
5 年程前から危険運転はあったものの、この事件を未然に防げなかった事を深く悔やんでいます。

現在、幸いにも子供たちは後遺症など残ることもなく、皆無事に学校へ通っています。