支援センターの笑顔に助けられて
公益社団法人ぎふ犯罪被害者支援センター
匿名
「犯罪被害者の声第9集より」
小学校に入学したばかりの娘達が、公園で遊んでいた時に、1人の成人男性からわいせつ行為を受けてしまいました。男は、
「一緒に遊ぼう」
と言ってやさしく近寄り、仲良くなったところを見計らって、パンツの中に手を入れてきたのです。娘達はビックリしたようですが、その時の公園は、他にもたくさん子供達が遊んでいたし、小さな子供を連れた大人もいたので、あまり危機感も持てず、何が起こったのかも理解できなったようです。しかし、そういった幼い子の特徴と純粋な心を逆手に取った、ズル賢い大人のわいせつ行為は、大変卑劣きわまりないものです。
私は、大切なかわいい娘達が傷ものにされてしまったという思いで、辛く悲しくなってしまいました。そして親として、子供を守ってやれなかったという申し訳なさと悔しさで、自分を責める気持ちでいっぱいでした。そしてまた、性犯罪の被害者になってしまったという現実を私はなかなか受け入れることが出来ませんでした。とにかく、この出来事を消し去ってしまいたい。でもそんな事は出来るわけがない。
しっかりしなければならない。親の私がオロオロしてしまい、心がどこかに行ってしまった状態でした。
そんな中でも事件はどんどん進んでいきます。警察での長時間に及ぶ事情聴取や実況見分。犯人が逮捕されたので、弁護士さんとのやり取りや検事さんとの面会。すべてが初めての経験で、説明を受けても頭がついていきませんでした。そしてなにより、子供の心がとても心配でした。事件について、何度も何度も詳しく話したり再現をしてみせたり。その事が子供達に大きな負担になっているのではないかと思うと、不安でしかたありませんでした。親として、何としても子供を守ってやりたい。でもどうしていいのか分からない。誰かに相談したくても、性犯罪で内容が内容なだけに、誰にも話したくありませんでした。そんな時、警察でいただいたパンフレットで「ぎふ犯罪被害者支援センター」の事を知り、早速電話をしてみました。
ありがたい事にすぐに対応していただき、面談に行くことが出来ました。そこでは、誰にも話す事ができなった胸の内を全部吐き出す事が出来ました。辛かったことや悲しかったことをじっくり聞いて下さり、気持ちに寄りそってくれました。そして共感してもらえたことがすごくうれしかったです。また、警察で説明を受けたけれど、ボーッとして全然頭に入っていなかった、刑事事件としての今後の流れも再度教えていただき大変助かりました。
その後、娘達を連れて検事さんとの面談があり、そこへ支援センターの方が付き添いをして下さいました。その頃娘達は、「事件についての話はもう二度としたくない」と言って、検察庁へ行くのを嫌がり困っていました。私としても、また娘達に嫌な思いをさせることが大変辛く心配でした。しかし、支援センターの方も一緒ということで、私も気持ちに余裕ができ、娘達を説得して連れて行くことができました。
検察庁では、私が付き添って一人ずつ検事さんと面談をしました。
面談をしない子の方は、控室で支援センターの方と待っていました。
面談は数時間かかり、2日間行われたので、その間に娘達は、すっかり支援センターの方と仲良くなって、帰る時にはたくさん笑いながら、楽しくお別れをしました。その後娘達が、「またあそこ行きたいな。検事さんにお話しするのは嫌だけど、それ以外は楽しかったから」と、検察庁へまた行きたいと言ったのでビックリしてしまいました。
そのことを支援センターの方に話したら、「事件の話をするという嫌な出来事も、そのすぐ後の楽しいことで笑って終われることが出来れば、だいじょうぶだよ」と、おっしゃいました。
私はそれを聞いて、なるほどなと感じました。娘達もそれ以後、ずっと元気に過ごしていますから。
まだ幼い二人なので、心の傷は本当のところよく分かりません。でも今後、娘達に伝えたいことがあります。今回の事件では、犯人逮捕に関して一生懸命動いてくれた警察の方や検事さんの存在。被害者になってしまった私達家族の精神的な支えとなり、行動して下さった支援センターの方。みんなあなたたちを大切に思い、見守ってくださったのだよ、ということを伝えながら、親として娘達の今後の成長を見守っていきたいと思っております。