支援センターに助けられて
公益社団法人被害者支援センターとちぎ
自助グループ「はなみずき」
Y・Y
「犯罪被害者の声第10集より」
夫が突然交通事故で亡くなり、五年目になりました。
あの日から半年くらいは、どのように過ごしたかさえ思い出せないような日々を送っていました。
何度も警察の方が来てくださったのですが、まともな応答ができず涙ばかりが先に出てしまったと思います。そんな私を見かねてか、被害者支援センターというのがあるので一度電話でもしてみてくださいと紹介してくれました。その頃の私は、料理することも忘れ、車のハンドルを握るのが怖くて、子供たちの車で日々の用事を済ませていた頃でした。
その頃、被害者支援センターの方が二人で訪問してくれました。近所の方に励まされたり、慰められたりされるのが嫌で、人に会うのを避けていた時期でした。しかし私のつまらない暖昧な話さえ、真摯に聞いてくれました。それが私には、心に安らぎを与え落ち着かせてくれました。
それから間もなく、検察庁から加害者が起訴された旨の通知があり、刑事裁判が始まりました。裁判に無知な私にその進行について詳しく説明してくれ、アドバイスや些細な事にも心配りをしてくれました。
毎月の法廷での傍聴にも優しく付き添ってくれました。
刑事裁判は一年三カ月後に判決が出ましたが、加害者に対する怒りや悔しさより、夫のいない喪失感の方がはるかにあります。心は晴れませんでした。
その後、支援センターで被害者遺族の方々との集まりに出席させてもらっています。同じ境遇の人たちなので、泣きながら支援センターのリードで、お互いの思いを話しました。それぞれ皆、同じような気持ちで毎日を過ごしているのを感じ、残された人生をなんとか生きていかなければと自分自身に言い聞かせることができるようになりました。
十年前までは被害者の支援はなく、自身で生きていく道しるべを模索した方がほとんどだったのでしょう。しかしこのような立ち直りのきっかけを支援してくれなかったなら心の平穏はこんなに早く訪れなかったと思います。
平成二十五年四月からは自助グループを立ち上げていただき、毎月一回の集まりを楽しみにしています。
一生忘れることのない悲しみを共有し、お互いに癒されながら生きていきたいと思っています。支援センターの方々に感謝するとともに、私たちのような被害者が少しでも減ることを心から願っています。