犯罪被害者に寄り添い支える 公益社団法人 全国被害者支援ネットワーク

全国被害者支援ネットワークは、全国48の加盟団体と連携・協力しながら
犯罪被害に遭われた方々へ支援活動を行なっています。

犯罪被害者の声 天国のお父さん、いつまでも「ありがとう」

天国のお父さん、いつまでも「ありがとう」

公益社団法人みやざき被害者支援センター
自助グループ「あおぞら」
   S・F
「犯罪被害者の声第12集より」

平成21年 3 月24日、主人は家の近くの交差点で事故に遭いました。
朝の散歩に行く途中、交差点を渡り切る一歩手前でした。
早いもので、年が明けるともう10年になります。
あのような事故に遭わなければ、温泉でも自由に行けたのに。
一生懸命働いて、やれやれと今からゆっくり自由な時間ができたのに、と思うこの頃です。

私は主人にいつも、
「お父さんは長生きするわね、じいちゃんに似て。」と言っていました。
じいちゃん、主人の父は、96歳でこの世を去りました。
不便と言ったら耳が遠いくらいで、いつも新聞を隅から隅まで見る人でした。
主人を見ているとじいちゃんを見ているようで、私は、親子ってよくこんなに似るものだなあ、お父さんもじいちゃんみたいに長生きするやろうね、と思っていました。

それが、散歩に出て、ただいまを聞く事もなくいなくなってしまうなんて。
主人には、伝えられなかった「ありがとう」が、まだたくさんあったのに。
お父さんいつも仏様のお茶をあげてくれたね。
ありがとう畑仕事、大変だろうに愚痴ひとつ言わずに頑張ってくれた。
仕事がひと段落すると、私の友達も一緒に、三股にしゃくなげを見につれて行ってくれたね。お父さん、ありがとう。

いなくなってから尚更、お父さんのありがたさが身にしみるよ。
もう帰ってこないお父さんを思うと寂しいけれど、周りの人が助けてくれる。
息子は私の事を気にかけ、家事を手伝ってくれるようになったよ。
毎日仏壇に手を合わせ、お線香をあげてくれるのは、お父さんもきっと見てくれているよね。
近所の人や友達もお父さんと私たちのことを思って、家に来てくれるよ。
曲がった事が嫌いで働き者のお父さん私たちにたくさんの優しさを与え、残してくれました。

もう二度と、大切な人を失いたくない。
こんなに辛くて苦しい思いはもうたくさんです。
他の誰にもこんな思いはさせたくありません。だから、息子が外出する時にはいつも、
「気を付けて運転するとよ」と声をかけます。

皆さんにも、お願いしたい事があります。
交通の規則をしっかり守りましょう。
運転手さん、携帯を見ながらの運転はしないで下さいね。
歩行者、自転車の皆さん、遠くにいるように見える車でも、思っているよりずっと速いので、車が見えたら止まって待って下さい。
皆それぞれ規則をよく守っていれば、事故は起こらないと思います。
ひとつしかない命を大切にしましょう。