犯罪被害者に寄り添い支える 公益社団法人 全国被害者支援ネットワーク

全国被害者支援ネットワークは、全国48の加盟団体と連携・協力しながら
犯罪被害に遭われた方々へ支援活動を行なっています。

犯罪被害者の声 8 年経った今

8 年経った今

公益社団法人被害者サポートセンターあいち・自助グループ「絆」
N・O  Y・O
「犯罪被害者の声第11集より」 

息子卓巳とのお別れからもうすぐ8年。
10月13日、自宅前で卓巳が車にはねられて、ICU で44日間後平成21年11月25日に無念にも旅立ちました。
生きていれば、今高校1年生。ちょうど思春期で私たちとは会話の無い生活をしているのかな?なんて夢の中で想像するときがあります。そんなときは、心の中が本当にさびしくなります。
息子卓巳に強烈に痛い思いをさせ、8歳で命を奪い、私達の心を滅茶苦茶にした張本人である加害者が憎くて、憎くてたまりません。その加害者は毎年の祥月命日には必ず直接焼香に来ます。本当は顔も見たくないし、家の中にあげる事も嫌です。最初は本当に抵抗がありました。
そんな加害者を何故、毎年家に上げるのか?焼香させるのか?理由は、加害者の命の限り償ってもらう事、加害者に私達の寂しさ苦しみの理由を自覚してもらう為です。
法要も1回忌くらいまでは、親族も神妙な面持ちですが、3回忌の時に笑い声が出てくる事に私達が我慢なりませんでした。
また加害者も、淡々と焼香をして無表情にさっさと退席する。
何かがおかしい!!
私達は卓巳の法要は宴会でもなければ、親族の集いの場ではない!!悲しい法要なのだ!!
加害者の態度にも異変が見られたので、私達に隙があったのかも?と思い、3回忌後の別日に加害者の気持ちを確認しました。話をすると、加害者は精神的におかしくなったといい、加害者が原因で事故を起こしておいて自身がおかしくなったと言う責任の擦り付けでした。
口では、「卓巳君への償いが加害者の人生の中で最も重要なことです」と言っておきながら、卓巳への反省の念から心ここにあらずといった感じでした。心が入っていない反省は無意味です。一見、線香に火をつけて手を合わせれば見た目はやっているように見えますが、心が無ければ意味がないし、卓巳にも響きません。
私達は加害者に再度、反省と償いの再考期間として半年の猶予をあたえて、加害者の回答を待ちました。半年後、加害者は改めて私達に反省と償いのことばを軽々しく発した事の反省と、加害者としての決意として加害者の立場から逃げることなく、真剣に償いと反省を続けていくと言いました。
それから毎年の祥月命日に親族の姿は無く、私達家族3人と加害者で法要をしています。
親族に心は無かったみたいです。悲しいです。加害者の顔を見ると心はこめているようです。が、決して許していませんし、顔を見ると本当に不愉快になります。
が、加害者に死ぬまで反省と償いをしてもらわなければいけないので、こちらも必死で心をこらえ加害者と向き合っています。いつまでも加害者に加害者にと思われるかもれませんがそれだけの事を加害者はしたのです。
本当に憎くて、憎くて仕方がありません。
本当だったら家族4人揃って普通の生活をしているはずなのに、なんでこんな不幸な事が我が家に起きてしまったのか?なんてことを、ふと考えます。
時間が解決するとか、もう一人産めばいいとか、軽々しく発する人がいましたが、時間が解決してはくれないし、失った命はもう戻りません。
私達は心の中とは別に人前では何事も無かったように生活しています。何故なら家族が揃っている人からすると他人事で、ましてや事故から約8年。周りでは卓巳の事故のことは風化しています。周りも、過去の事として忘れ去られているようです。これが本当に悲しいです。
しかし、周りに腹を立てても仕方ないと思い私達家族だけは常に家族4人の意識を持って日々の生活をしています。

ここで卓巳に報告。
パパは毎日元気に仕事しています。
ママもお姉ちゃんも元気です。
いつも卓巳が居たら○○だねってよく話題になります。
パパはいつも飲み過ぎと卓巳に怒られていたので、お酒は休みの日だけ飲んでいます。
かっこ悪いパパはダサいといつもあなたに言われていたので、太り過ぎないように食べすぎに注意しています。
それから、キャッチボールもっとすればよかったね。
パパはいつでも出来ると思っていました。
まさか、こんなに早く卓巳がいなくなるなんてパパは夢にも思っていませんでした。
本当に後悔しています。ごめんね。
でも卓巳は学校でも、どこでも誰よりも輝いていましたよ。それは本当です。
何でも一番が大好きな卓巳。
一番になるまでの努力と一番になったときの光り輝いた卓巳の姿が、今でも目に焼きついて忘れません。
パパは、卓巳がたくさん汗をかいて努力する姿が大好きでした。
今、卓巳は何をしていますか?
負けず嫌いで一番が大好きなあなたは努力を重ねているでしょうね。
卓巳と会う日までパパはあなたに何もしてあげられません。ごめんね。
パパも卓巳が居なくて寂しくて悲しいです。でもパパは卓巳に恥じない人生を送って卓巳と再会したいです。そのときまでお互いに男を磨こうな。
辛いけど・・・・・。
パパより



卓ちゃん!!
今年は卓巳が生きた8年と、卓巳が旅立った8年と同じ年数になってしまいました。
本当なら思い出も2倍以上になっていたはずです。
日々生活していると全てが卓巳に見えたりして辛い日々は絶えません。
「ダメだ。」、「ダメだ。」と言われながらも痛み、苦しみに一人で耐えICU で過ごした44日間
ママの頭の脳裏に焼きつきあの光景が頭から離れず本当に、本当に苦しいです。
この気持ちのままこれからの日々をずっと送っていくのはあまりにも悔しいです。
卓巳には男らしく、たくましく育ってほしかった。
悔しい思いをしてやられた時は、必ず男の子らしくやり返せ!
そういってママは育ててきたのに、叶えられなかった!卓巳に代わって、ママは正々堂々と正面から加害者にぶつかっていくことにしました。
ママは、「母は、強し。」のキャッチフレーズを再開させます。
卓巳とママのカラーをきっと作り出すね!
ママより


最後に、落ち着くまでには色々な段階と選択がありますが、卓巳が亡くなってからずっと私達家族の声に耳を傾け心の支えとなってもらった場所。
それがサポートセンターあいちの存在でした。
今でもずっと見守ってくれています。支えがあったからこそ自分を見失わずここまでこれた事に感謝します。