特定非営利活動法人ひょうご被害者支援センタ一
尾 松 智 子
信吾が亡くなってから一ケ月。二階の部屋からは信吾の声や足音が不意に響いてくるような気がします。階段の下から何度「信吾」と大きな声で叫んだか知れません。お母さんの文句をいつも言っているくせに、すぐその後にも「お母さん」と何度となく電話を入れる典型的な一人っ子の甘えん坊だったように思います。 初めての保育園のお泊り会。自然学校やキヤンプ。私が淋しくて時間ぎりぎりに送って行ったこともありました。当の本人はそんな私の気持ちも知らずに、喜んで友達の輪の中へ。親から離れ自立していく信吾を見ていて、嬉しいやら淋しいやら複雑な気持ちでした。その時でさえ信吾と出来ることなら一緒について行きたかった。その信吾ともう二度と話せないし、会えない。一生お母さんと呼んでもらえることも出来ません。又、信吾と一緒に付いて行ってやることも許されません。私自身の両親に、この同じ辛い思いだけは味わわせることは出来ません。何度かふと、電車に飛び込んだら…と思うのですが、主人や周囲の人々の励ましで何とか、この一ケ月、一日一日過ごすことが出来ました。 read more