Category Archives: 平成24年度版しおり

平成24年度版しおり

VSCOの支援を受けて

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社団法人被害者サポートセンターおかやま

大 崎 利 章

Ⅰ 事件の概要

 事件は去年(2010年)2月25日の午後5時半ごろに起きました。私はまだ仕事から帰宅していなかったのですが、弟が突然、家の中に入ってきて妻を何度もナイフで刺していたと子供達が話していました。
 弟は妻の頭や背中をナイフで10数カ所刺した後、今度は、子供の方に「お前らも殺してやる」と言いながらナイフを振り回してきたそうです。弟は子供達を切り付けた後、灯油をまいて家に火をつけました。火が燃え広がるとき、長男と二男は別々に逃げ出していて長男は近所の家に助けを求めていました。
 そのとき妻は、自力で家の外にでて燃える家の前で、当時7歳だった二男の名前を叫んでいたそうです。家にいた家族3人がバラバラになり特にまだ小さかった二男が無事かどうか、確認したかったのでしょう。
 私が帰宅した時、妻は既に意識はありませんでした。それでも、私がそばに行くと妻が顔をこちらに向け、何かを語りかけているようでした。子供達の無事を確認してほしかったのか、弟のことを話したかったのか。妻はその後、出血多量で死亡が確認されました。子供達は幸い命は取り留めましたが20針以上縫う怪我を負いました。弟は家に火をつけた後、車で逃げましたが2時間後に警察に逮捕されました。 read more »

平成24年度版しおり

「犯罪被害者」という名の社会的弱者

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公益社団法人被害者支援センターとちぎ

小 佐 々 寛 子

 市役所の職員であった父は日本で稀にみる行政対象暴力事件の犠牲者となりました。
 事件は平成13年10月31日夕刻、父は自転車で帰宅途中に実行犯である暴力団関係者の男3名に車で拉致され、そのまま帰らぬ人となってしまいました。実行犯は父を長時間車に監禁し、その後絞殺し、留めは拳銃一発で群馬県内の山中に遺棄したと供述しました。
 事件発生から10年経過した今でも父は発見に至っていません。未だ父を助け出すことができなく申し訳ない気持ちです。
 事件の加害者は全員で5名、年齢は父と同じくらいの人間ばかりで驚きました。首謀者である産業廃棄物処理業者の男は逮捕状が出ていたにもかかわらず自殺体で発見、もう1人は収監後、獄中で病死しました。現在生き残っている加害者は、懲役17年と18年の2名と無期懲役の1名です。父の命を奪っておきながらいまだに「刑務所」という安全で安心できる場所で生きているのかと思うと、はらわたが煮えくりかえる気持ちでいっぱいです。
 事件の背景は、長年にわたって首謀者の男と市役所の一部の人間との間に癒着があったことと、それを見て見ぬふりをしてきた組織に原因があります。父は組織の中で孤立無援の状態になりながらも首謀者の男に対し、法令に基づいて厳正に対処をしていました。その父の法令を順守した正しい職務が首謀者を暴力行為へと導いたのです。私は、事件を通して正しい行為が否定される土壌があったことに対しての怒りと、あと10年早く暴力団排除条例が施行されていればと様々な思いが交錯します。 read more »

平成24年度版しおり

息子が犯罪被害にあって

公益社団法人京都犯罪被害者支援センター

西 池 紀 子

 平成15年12月、息子ともう一人の男子児童が、小学校の教室内に侵入した不審者から包丁で頭部に怪我を負わされました。不審者は学校区内に住む精神障害者でした。あれから9年、元気な毎日を送っていますが、家族皆が事件を忘れることはなく、学校区の地域の方達も事件翌日から毎朝夕、通学路に立ち今も子供達の安全を見守ってくださっています。
 事件は小学校1年2学期最後の給食時間に起きました。犯人はまず、教卓前に立つ副担任に包丁を振り下ろしましたが、副担任はその手を振り払い担任や児童達には何も言わず、助けを求めに教室を出ていきました。怖くて動けなかった息子ともう一人の児童は、背後から頭部へ包丁を振り下ろされ3~7センチの怪我、それを見ていた女子児童の大きな泣き叫ぶ声で、教室内にいた担任が初めて異変に気づきました。すでに息子たちが怪我をしていたことは当然わかりませんでした。児童は担任の「逃げなさい」という大声で、教室から飛び出て階段を下り職員室へ駆け込み、犯人は、先生達にすぐに取り押さえられました。息子はずっと、顔面蒼白で何もしゃべれなかったようです。 read more »

平成24年度版しおり

意見陳述書

特定非営利活動法人ひょうご被害者支援センター

匿 名


 2010年10月29日、あの日から私の時間は止まったままです。
 1日も涙の枯れる日はありません。
 毎朝仏壇に手を合わせることから、一日が始まります。
 19歳と359日、圭祐は星になってしまいました。
 例えが悪いかもしれませんが、ナイフで一刺しで殺される方がいくらか苦しまずに死ねただろうと思います。そしてその方が、凶器があるので、犯人は殺人罪として、重く処罰されたのではないでしょうか。
 今回圭祐は、長時間の暴行で、どれだけの痛みと恐怖を感じたことでしょう。運ばれた病院で10時間、激しい出血と苦しみに耐えて、それでも傷害致死という罪で終わらされてしまいました。これほど納得のいかないことはありません。
 「殺す気がなかった」なんて、誰でも言うでしょう。でも、被告らのしたことは、頭と顔だけを殴り、蹴るという、あまりにもひどいことでした。周りにいた者が、「死んでしまう。やりすぎ。やばい。」と思っていたのに、それでも暴行し続けた被告らは、傷害致死罪という罪で裁かれていますが、圭祐の受けた苦しみを考えると、単なる殺人罪よりも、もっと重い罪を犯したとしか思えません。 read more »